「社会心理学研究」に論文が公開されました
「社会心理学研究」に、以下の論文が公開されました。
古橋健悟・五十嵐祐 (2020). 援助要請における援助者の切り替え方略:援助者数が援助要請者のストレスに及ぼす影響 社会心理学研究
和文要約
同一の他者に援助要請を繰り返すことは、援助者だけでなく、援助要請者の心理的負担感も高めてしまう。本研究では、援助要請を繰り返す場面において援助者を切り替える個人ほど、援助要請に伴うストレスの高まりが抑制されるという仮説を検討した。実験では、参加者自身がストレス場面(抑うつまたは失職)に陥ったというシナリオを提示し、その状況におけるストレスの測定、援助要請を行う相手の選択を求めた。その後、援助要請を行っても問題が解決しなかったというシナリオを繰り返し提示し、ストレスの測定、援助者の選択、援助者との心理的距離の測定を求めた。その結果、抑うつ場面・失職場面の両場面において、異なる他者に援助要請を行う個人ほどストレスの高まりが抑制されることが示された。この効果は、パーソナル・ネットワークのサイズおよび選択される援助者の多様性に関わらず生じることが示唆された。考察では、援助要請における援助者の切り替え方略の有効性およびそれが生じるメカニズムについて論じた。