お知らせ // 論文・書籍
「心理学評論」に論文が掲載されました
「心理学評論」に、以下の論文が掲載されました。
五十嵐祐 (2025). 日本における孤独・孤立研究の現状と課題:研究動向と測定の問題を中心として. 心理学評論, 68(2), 127-142.
和文要約
本論文では、日本における孤独と社会的孤立に関する研究動向を概観し、この分野における概念的定義、根本的メカニズム、測定の課題について論じる。まず、J-STAGEデータベース(日本の学術雑誌のリポジトリ)を用いた構造トピックモデリングにより、異なる分野の研究動向を経時的に分析し、特に心理学と医学の分野で2000年代以降に研究が増加していることを報告する。次に、対人関係が健康に及ぼす影響を説明する理論的枠組みとして、ストレス緩衝モデル、主効果モデル、孤独に関する発達的・進化的視点について簡潔に説明を行う。さらに、連続変量の二値化にまつわる古典的な問題や、孤独感の測定ツールに対する批判的検討の必要性についても議論する。特に、孤独感や社会的孤立感の尺度やスコアに基づいて個人を分類することの難しさを取り上げ、既存の研究の方法論的な課題を指摘する。これらの理論的・方法論的側面を理解することは、現代社会において孤独や社会的孤立の研究に取り組む研究者にとって不可欠である。
この記事へのリンク | 2025-11-4
博士前期課程の原田瑞穂が日本社会心理学会・海外学会発表支援制度の支援対象者に選出
博士前期課程の原田瑞穂が、日本社会心理学会の2025年度「大学院生・若手研究者海外学会発表支援制度」支援対象者として選出されました。
支援対象者:原田瑞穂(M2)
発表題目:Multiple Evaluator Estimations Reveal Persistent Negative Evaluations of Altruistic Behavior
発表学会:The 16th Biennial of Conference of Asian Association of Social Psychology (Subang Jaya, Selangor, Malaysia)
The 16th Biennial of Conference of Asian Association of Social Psychology
この記事へのリンク | 2025-10-21
「実験社会心理学研究」に論文が掲載されました
「実験社会心理学研究」に、以下の論文が掲載されました。
原田 瑞穂・五十嵐 祐 (2025). 間接互恵性における集団サイズの影響 実験社会心理学研究. https://doi.org/10.2130/jjesp.2420
間接互恵性は,利他行動を通して行為者の肯定的な評判が形成されることで,第三者から資源が返報されるというメカニズムのもとで検討されてきた。しかし,すべての第三者が利他行動を肯定的に評価するとは限らない。特に,集団サイズが増加すると,人々は第三者からの評価に対してより敏感になる一方で,第三者から返報を受けることへの期待を低く見積もる可能性がある。本研究では,第三者の人数と利他行動との関連について,評価への関心と間接的な利益に対する期待による影響を考慮した実験室実験(N=111)を行った。参加者は,架空のNPO法人に寄付を行った後,所定の人数(1人,5人,9人)から無作為に選ばれた架空の参加者1人との間で,信頼ゲームを行った。このとき,架空の参加者は参加者の寄付額を知った上で資源を提供すると教示した。実験の結果,評価への関心,間接的な利益に対する期待,寄付額のいずれも,条件間で有意な差がみられなかった。ただし,第三者の人数が増加するにつれて,評価への関心が寄付行動を抑制させる効果を高める傾向がみられた。本研究の結果は,人々が自身の行動を評価する人物の人数によって自身の評価に対する関心を変化させ,利他行動を調節する可能性を示唆する。
この記事へのリンク | 2025-8-27
日本社会心理学会第66回大会で発表を行います
2025年9月20日(土)~9月21日(日)に開催される日本社会心理学会第66回大会で以下の発表を行います。
【口頭発表】
- 五十嵐 祐・平島 太郎・吉田 琢哉 (2025). 孤独に対する他者信念の推測:横断ネットワークデータによる検討(9月20日10:45~11:00)
- 原田 瑞穂・五十嵐 祐 (2025). 利他行動に対する他者評価の推測:人数情報と他者の視覚化による影響(9月21日9:45~10:00)
【ポスター発表】
- 山田 怜生・五十嵐 祐 (2025). 調査参加人数が参加者のメタ非人間化意識に及ぼす影響(9月20日9:30~11:00)
この記事へのリンク | 2025-8-27
日本心理学会第89回大会で発表を行います
2024年9月5日(金)~7日(日)に開催される日本心理学会第89回大会で,以下の発表を行います。
【公募シンポジウム】
- 駒谷 和範・熊野 史朗・岡田 将吾・藤原 健・五十嵐 祐 (2025). 心理学と工学の融合による対人コミュニケーション研究の展開(9月6日11:30~13:10)
※五十嵐教授が指定討論者を務めます。
【一般研究発表】
- 山田 怜生・五十嵐 祐 (2025). 参加者が考える日本のクラウドソーシング調査の改善点:構造的トピックモデルを用いた検討(9月5日11:10~12:50)
- 平島 太郎・五十嵐 祐 (2025). 受動的な最小相互作用と主観的幸福感:事前登録による検証(9月5日13:20~15:00)
- 五十嵐 祐 (2025). 孤独のスティグマにおける多元的無知の構造:孤独の尊重がもたらす強化のプロセス(9月6日9:00~10:40)
- 原田 瑞穂・五十嵐 祐 (2025). 人数から想起される集団の類型(9月6日13:20~15:00)
この記事へのリンク | 2025-8-27