“Japanese Psychological Research”に論文が掲載されました

"Japanese Psychological Research"に、以下の論文が掲載されました。

Furuhashi, K., & Igarashi, T. (2022). Does mental simulation decrease the empathy gap in help‐seeking? Japanese Psychological Research. https://doi.org/10.1111/jpr.12436

メンタルシミュレーションは、援助要請場面における共感ギャップを減少させるか?

人々は、援助のコストが高いと認識すると、他者に援助を求めること(援助要請)を躊躇する。一般に、援助要請者は、視点取得のエラーによって援助のコストを過大に見積もることが知られている。本研究は、3つのメンタルシミュレーション(援助を提供した経験の想起、援助要請を拒否した経験の想起、共感ギャップの感知)が、援助要請者が知覚する援助コストを減少させるかどうかを検討した。参加者は、いずれかのシミュレーションを行った後、あるいはシミュレーションを行わずに(対照条件)、援助と援助要請について記述された2つのシナリオを読み、シナリオの中で知覚された援助コストを評価した。予測に反して、シミュレーションは援助要請者が知覚する援助コストを減少させなかった。また、援助要請を拒否された経験の想起は、失業シナリオにおける援助コスト知覚を増加させた。抑うつ気分を抑制するための援助要請に関するうつ病シナリオでの事後的分析の結果、共感ギャップ条件では、援助者から見た援助のコストが減少し、援助要請者から見たコストは変わらないことが示された。これらの結果は、援助者と援助要請者の立場の非対称性を認識することが、援助場面においてはかえって逆効果となり、共感ギャップを拡大させる可能性を示唆している。

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