「心理学評論」に論文が掲載されました

「心理学評論」に、以下の論文が掲載されました。

五十嵐祐 (2025). 日本における孤独・孤立研究の現状と課題:研究動向と測定の問題を中心として. 心理学評論, 68(2), 127-142.

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和文要約

本論文では、日本における孤独と社会的孤立に関する研究動向を概観し、この分野における概念的定義、根本的メカニズム、測定の課題について論じる。まず、J-STAGEデータベース(日本の学術雑誌のリポジトリ)を用いた構造トピックモデリングにより、異なる分野の研究動向を経時的に分析し、特に心理学と医学の分野で2000年代以降に研究が増加していることを報告する。次に、対人関係が健康に及ぼす影響を説明する理論的枠組みとして、ストレス緩衝モデル、主効果モデル、孤独に関する発達的・進化的視点について簡潔に説明を行う。さらに、連続変量の二値化にまつわる古典的な問題や、孤独感の測定ツールに対する批判的検討の必要性についても議論する。特に、孤独感や社会的孤立感の尺度やスコアに基づいて個人を分類することの難しさを取り上げ、既存の研究の方法論的な課題を指摘する。これらの理論的・方法論的側面を理解することは、現代社会において孤独や社会的孤立の研究に取り組む研究者にとって不可欠である。

心理学評論

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