お知らせ // 論文・書籍

“Frontiers in Communication”に論文が掲載されました

"Frontiers in Communication"に、以下の論文が掲載されました。「信頼の解き放ち理論」をベースに、高信頼者が社会的ネットワークでパートナーを切り替え、大きなクラスターに組み込まれることを避ける傾向について、大学生を対象とした4時点の縦断研究で実証しました。

Igarashi, T., & Hirashima, T. (2021). Generalized Trust and Social Selection Process. Frontiers in Communication, 6, 88. https://doi.org/10.3389/fcomm.2021.667082

本文

Abstract

Generalized trust relieves individuals in a socially uncertain situation from dyadic constraints of existing ties and helps them change ties with other individuals to acquire better resources. However, much evidence in the emancipation role of generalized trust as a booster of new relationship formation has been limited to laboratory experiments or cross-sectional surveys. We conducted a four-wave longitudinal survey to test whether individuals high in generalized trust actively switch ties and form open triads in dynamic social networks. Stochastic Actor-Oriented Models were employed to analyze structural changes in advice and personal discussion networks among first-year undergraduates. Results showed the predicted patterns of social selection processes based on generalized trust when the dynamics of the two networks were analyzed simultaneously: only in the advice network, individuals high in generalized trust tended to terminate existing ties, create new ties, and show a decreasing trend toward forming close triads when the degree of local clustering was large. Effective tie-formation strategies of individuals high in generalized trust in a multiplex network structure are discussed.

五十嵐研究室2020年度の業績一覧を公開しました

2020年度の五十嵐研究室の業績は以下の通りです。

論文（査読有）

• Igarashi, T., & Koskinen, J. (2020). Overchoosing: A Mechanism of Tie-Formation in Social Networks. 本文PDF
• 五十嵐祐 (2020). 孤独感と対人関係の再帰的な構築 心理学評論, 63 (4), 403-417. 本文PDF
• 古橋健悟・五十嵐祐 (2020). 援助要請における援助者の切り替え方略：援助者数が援助要請者のストレスに及ぼす影響 社会心理学研究, 36 (2), 39-48. 本文PDF

学会発表（国際学会）

• Furuhashi, K., & Kiyokawa, S. (2021, Feb.). Why do people switch their helpers? Poster presented at the 22nd Annual Meeting of the Society for Personality and Social Psychology, Online.
• Chen, J. & Igarashi, T. (2020, Nov.). Overcoming choice homophily under wealth disparities in dynamic social networks. Paper presented at the 5th Australian Social Network Analysis Conference, Online.
• Chen, J. & Igarashi, T. (2020, May.). Do Well and Have Well: Favorable Behavior Breeds Rich-Poor Cooperation. Poster presented at the 32nd Association for Psychological Science Annual Convention, Online.

学会発表（国内学会）

• Igarashi, T. & Hirashima, T. (2020). Executive functions and community multiplexity.　日本社会心理学会第61回大会, オンライン開催
• Chen, J. & Igarashi, T. (2020). Universal cooperation beyond the rich-poor boundaries: Process of reducing socioeconomic inequality in dynamic networks.　日本社会心理学会第61回大会, オンライン開催
• 平島太郎・五十嵐祐 (2020). 弱い紐帯を含むパーソナルネットワークの構造　日本社会心理学会第61回大会, オンライン開催
• 古橋健悟・五十嵐祐・清河幸子 (2020). 援助要請者が知覚する援助者のコストが援助者選択に及ぼす影響　日本心理学会第84回大会, オンライン開催

「心理学評論」に論文が掲載されました

「心理学評論」に、以下の論文が掲載されました。

五十嵐祐 (2020). 孤独感と対人関係の再帰的な構築 心理学評論, 63 (4), 403-417.

本文PDF

和文要約

孤独感への対処は現代社会における喫緊の課題であり、近年の研究では、孤独感の神経生理学的な側面が主に検討されてきた。一方で、孤独感は単なるネガティブ感情とは異なる複雑で複合的な心理的構成概念である。孤独感によって引き起こされる不適応的な認知や行動は、他者からの排除や孤立を招いてしまう。こうした負の連鎖を断ち切るには、社会的人ネットワークと孤独感のダイナミックな影響過程を、社会的情報処理の観点から検討することが重要となる。本論文では、孤独感の概念的特徴について紹介した後、二者関係や集団内関係の中で個人が孤独を感じる過程、社会的選択・影響のメカニズムと孤独感との関連、孤独感とソリテュードとの区別、孤独感への介入についてそれぞれ述べ、孤独感への対処として社会的な「場」を提供することの意義について議論する。

心理学評論

博士後期課程の古橋健悟が科学技術振興財団の調査研究助成対象者に選出

博士後期課程の古橋健悟が、科学技術融合振興財団（FOST）の調査研究助成対象者として選出されました。

助成対象者：古橋健悟（D2）

助成事業名：科学技術融合振興財団　調査研究補助金

研究課題：援助者シミュレーションによる援助要請の促進：Empathy gapsの解消効果に着目して

共同研究者：五十嵐祐、清河幸子

科学技術融合振興財団

「社会心理学研究」に論文が公開されました

「社会心理学研究」に、以下の論文が公開されました。

古橋健悟・五十嵐祐 (2020). 援助要請における援助者の切り替え方略：援助者数が援助要請者のストレスに及ぼす影響 社会心理学研究

本文PDF

和文要約

同一の他者に援助要請を繰り返すことは、援助者だけでなく、援助要請者の心理的負担感も高めてしまう。本研究では、援助要請を繰り返す場面において援助者を切り替える個人ほど、援助要請に伴うストレスの高まりが抑制されるという仮説を検討した。実験では、参加者自身がストレス場面（抑うつまたは失職）に陥ったというシナリオを提示し、その状況におけるストレスの測定、援助要請を行う相手の選択を求めた。その後、援助要請を行っても問題が解決しなかったというシナリオを繰り返し提示し、ストレスの測定、援助者の選択、援助者との心理的距離の測定を求めた。その結果、抑うつ場面・失職場面の両場面において、異なる他者に援助要請を行う個人ほどストレスの高まりが抑制されることが示された。この効果は、パーソナル・ネットワークのサイズおよび選択される援助者の多様性に関わらず生じることが示唆された。考察では、援助要請における援助者の切り替え方略の有効性およびそれが生じるメカニズムについて論じた。

社会心理学研究