お知らせ // 発表

日本行動計量学会第52回大会で発表を行います

2024年9月10日(火)~13日(金)に開催される日本行動計量学会第52回大会で,以下の発表を行います。

【特別セッション 犯罪現象の行動計量1】

  • 佐名 龍太・五十嵐 祐 (2024). 日本における不審者の外見的特徴と言動:Web 上の大規模データを用いた検討(9月11日 13:00~15:00)

“Nature Reviews Psychology”のResearch Highlightsで研究が紹介されました

"Nature Reviews Psychology"のResearch Highlightsで、British Journal of Social Psychologyに掲載された以下の論文が紹介されました。

Igarashi, T. (2024). Loneliness and socioemotional memory. British Journal of Social Psychology. https://doi.org/10.1111/bjso.12783​

Research Highlights

日本語による論文の紹介はこちら

日本心理学会第88回大会で発表を行います

2024年9月6日(金)~8日(日)に開催される日本心理学会第88回大会で,以下の発表を行います。

【公募シンポジウム】

  • 伊藤 文人・柳澤 邦昭・豊島 彩・福光 甘斎・浦 光博・五十嵐 祐 (2024). 孤独・孤立の予防に基礎研究は貢献できるのか?:心理学・神経科学の可能性(9月7日15:50~17:30)
    ※五十嵐准教授が指定討論者を務めます。

【一般研究発表】

  • 山田 怜生・光永 悠彦・五十嵐 祐 (2024). 潜在クラス分析による不注意回答者分類の試み:オンライン調査における検討(9月6日13:20~15:00)
  • 陳 佳玉・Bruno Toshio SUGANO・Alisa FRIK・Huy NGUYEN・五十嵐 祐・越前 功・笹原 和俊 (2024). 警告情報の提示が政治動画の共有行動に及ぼす影響:ディープフェイクの拡散抑止への示唆(9月6日15:30~17:10)
  • 五十嵐 祐・吉田 琢哉・平島 太郎 (2024). 孤独感はネットワーキング行動を促進するのか:確率的アクター志向モデルによる縦断的検討(9月7日11:10~12:50)
  • 平島 太郎・五十嵐 祐 (2024). 日本語版Imposing Memory Task(IMT-J)の開発 (3):項目タイプと次数を再分類した誤答率の分析(9月8日11:10~12:50)
  • 原田 瑞穂・五十嵐 祐 (2024). 利他行動に対する他者評価の推測:評価者数との関連から(9月8日15:30~17:10)

日本社会心理学会第65回大会で発表を行います

2024年8月31日(土)~9月1日(日)に開催される日本社会心理学会第65回大会で以下の発表を行います。

【口頭発表】

  • 平島 太郎・五十嵐 祐 (2024). 最小相互作用を含むパーソナルネットワークと主観的幸福感との関連:最小相互作用の能動性・受動性に着目した探索的検討(8月31日9:45~11:00)
  • 五十嵐 祐・平島 太郎・吉田 琢哉 (2024). 認知的再評価と表出抑制が生み出すネットワークのダイナミックス:縦断データによる検討(8月31日16:15~17:15)
  • 原田 瑞穂・五十嵐 祐 (2024). 評価者数と間接互恵行動との関連―評価懸念に着目した検討―(8月31日16:15~17:15)

【ポスター発表】

  • 山田 怜生・光永 悠彦・五十嵐 祐 (2024). フィードバックによる不注意回答抑制の試み―オンライン調査における検討―(8月31日9:30~11:00)

“British Journal of Social Psychology”に孤独感と自伝的記憶に関する論文が掲載されました

"British Journal of Social Psychology"に、以下の論文が掲載されました。

Igarashi, T. (2024). Loneliness and socioemotional memory. British Journal of Social Psychology. https://doi.org/10.1111/bjso.12783​

この論文では、孤独感が自伝的記憶に含まれる社会的なエピソードの想起に及ぼす影響を、4095人の日本人サンプルを対象に検討しました。

従来の理論では、孤独感が社会的情報への過敏性や注意を促すことが知られていました。そのため、孤独感の高い人は、社会的なエピソードがポジティブかネガティブかにかかわらず、そうした情報に関する記憶を想起しやすいことが主張されていました(社会的情報の記憶バイアス)。ただし、孤独感による社会的情報の記憶バイアスは限られた少数のサンプルで得られたものであり、その一般化可能性についてはこれまで十分な検討がなされていませんでした。また、孤独感と強く相関する抑うつについては、ネガティブな情報への注意が強まることが広く知られており(ネガティブな記憶バイアス)、社会的情報の記憶バイアスはこの知見との整合性についても疑問が残るものでした。

この論文では、4つのデータセットを用いて、自伝的記憶で想起される社会的なエピソードと、孤独感との関連を検討しました。実験では、参加者自身の経験したポジティブあるいはネガティブなエピソード、あるいは何もない平凡な一日のエピソードについて書いてもらうよう求めました。想起されたエピソードについては自然言語処理を行い、J-LIWC2015という辞書を用いて社会的な情報を分類しました。

分析の結果、孤独感は、ポジティブなエピソード(下図:緑の点線)、および平凡な一日のエピソード(赤の点線)で想起された社会的情報の量とマイナスの相関を示していました。一方、ネガティブなエピソード(青の実線)については、孤独感との明確な関連はみられませんでした。このパターンは、抑うつや日常生活で経験するさまざまなライフイベントの経験頻度について統制した場合も同様でした。

これらの結果は、孤独感の高まりが社会的情報の想起を無条件で促すわけではなく、むしろポジティブな社会的情報の想起を選択的に阻害している可能性を示しています。これは、抑うつでみられるパターンに部分的に類似したものです。また、ネガティブな社会的情報の想起は、孤独感の程度にかかわらず普遍的に見られました。このことは、ネガティブなエピソードが多くの場合に対人的な要素を含むことを意味し、これは抑うつにおけるネガティブな記憶バイアスとも異なる興味深い点です。

本論文の知見は、孤独感の高い人における社会的情報の記憶バイアスの妥当性に疑問を投げかけるとともに、ネガティブな社会的エピソードの自発的な想起が、孤独感の高い人に特異的にみられるわけではないことを示しています。

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